三十首連歌作品(短歌)

2014年8月22日 (金)

三十首連歌・ミューズに捧げるオランピアの夢 ―― 短歌を詩と試みる実験 ――


※スマホは画面を横向きにされると読み易いです。

 


 
『ミューズに捧げるオランピアの夢』
   ―― 短歌を詩と試みる実験 ――

 

 プロローグ


星空のビスクドールのお祈りに命吹き込む花びらとまれ

 

 第1話


魂の片割れ見つけ歓んだ端からぽろりぽつんとひとり


泡沫の夢を見ていた現世(うつしよ)はピースがひとつ足りないパズル


黒き髪 黒き瞳の愛の歌 肖像画より遥か見つめる


三本の剣が刺された心臓は一際赤く嬉々としていた


人間になること許されぬ二次元の人形の髪は金色


正剣が隣で牢を守るから薔薇は花瓶で無邪気にしよう


真夜中のナイチンゲールのたわ言に月の光が蒼く微笑む


足元に転がる瓶に思い出すアマデウスの部屋 あははと笑う

 

 第2話


ガンジスの砂を数えるより多い輪廻の涙の水の惑星


灯火を掲げていても冥暗の哲学の路は頑固な左折


スイッチを入れた電球のアタマでは歪なオーラが黒ずんでいる


透けていた凍えるキューブの対角は隈取りをしたロダンの彫刻


12音並べただけのことでも松明は明々と歌になる


透き通るほどに真白い手の甲に千鳥格子が描かれていた


21世紀になると女神も電波に身を変え詩人に寄り添う


誰も知らないメッセージは銀色の光にくるめた秘密の薔薇


温もりを追って伸ばした星空に人差し指でありがとうと書く

 

 第3話


少しだけ近寄れません あのひとが心を隠す旅に行くとき


恋しては恋い焦がれては感情の螺旋を愛撫(なで)る望み果てなく


独りだけ取り残された理想郷 ごっこ遊びの遠い思い出


偽りの作り笑いを守るのは出来損ないのもどかしい夢


愛おしく爪弾く弦の静かなる歓喜(よろこび)の歌 錦(にしき)織りなす


高き虹昇る階段 頬を寄せ慈しみ合い 終いの縁を


崇高な極彩色のシンフォニー 太陽の君 命を歌う


蜉蝣(かげろう)の泣き声を聞く薄い羽微(かす)かに震え涙ひとつぶ


此処に咲く野薔薇は独り根も張れず瓦礫の中で息を潜める

 

 エピローグ


懐かしい古(いにしえ)の夢しみじみと良き日と想うノスタルジアと


秘められた尊い意志と理想込め五線紙綴る常しえの友


相棒の愛しい好敵手(きみ)と終生を手繋ぎ歩む ルネッサンスへ

 

 


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2014年7月21日 (月)

三十首連歌『在るが儘』

哲学的観点で詠んだ三十首連歌です。
かなり難解かも知れません。(笑)
過去の作品ですが、不穏な政情に危惧して反戦の意思表明も込めてこちらでも紹介させて頂きます。

 

『在るが儘』


◆輝ける命の珠(たま)が弾け来てこの世にひとつ また華が咲く

◆問う程に迷宮深く墜ちて行く 何故生まれ来て 何処へ向かうと

◆有限の娑婆に流離(さすら)う儚き身 秘めし言霊 宇宙(そら)に打ち明け

◆彩(いろどり)の瞬(またたく)流れ鮮やかに日々月々と変わる生命(いのち)の

◆寄せ帰す波打つ胸の実存を眠る猫にも見つけ微笑む

◆米を食う 通過するうち異なりて糞となる字に感心し 食う

◆生き物の肉体(からだ)に昇る陽炎の透明な熱美しく揺れ

◆現世(うつしよ)の出来事はみな遊園地 喜怒哀楽のアトラクション乗る

◆懐疑とは存在を問う道標と 擬態になり息を潜める

◆運命の一艘の船相乗りす共同体は喧嘩だらけだ

◆囁きは巧みな技で七変化 魔界の巣窟おどろおどろ

◆弦楽セレナーデの追い撃ちはブルーを通り越して灰になった

◆耳だけは感度良好 音楽屋 心の悲鳴聞かずと聴こえ

◆何も見ず 何も聞こえず 何も無く在りたく願う 有り難いとも

◆腫れ上がる傷生々しく塩辛い涙と共にこの胸に抱く

◆絶え間なく巡り続ける血潮にも無常の秩序この色(み←身)の儘の

◆肉体に在る頼りなさうろうろとどっち付かずの迷い事書く

◆虚ろなるこの在りし身の置き処(どころ) 何を想いてばらばらと散る

◆ただ過ぎる 無効な時がただ過ぎる であるはずの 無効の有効

◆遠くより眺めればただ翳り射す現(うつつ)の実(まこと)及ばざること

◆水面には浮かぶ木の葉の漂いて知らぬ風景知らぬまま過ぎ

◆ぬばたまの数珠を繋ぎて輪廻の輪手繰り寄せたる魂の代(とき)

◆頼りなく刻む鼓動の途切れては肉体の殻焼却ゴミへ

◆約束の日惜しみながら旅立つも脱け殻の肉とうに忘れて

◆人は皆こうでなければいけないと何に縛られ苦しく生きる

◆淵の無きほとりの水は平穏に水玉生まれ水面(みなも)に還る

◆生命と宇宙を満たす妙音の菩薩の波長我が霊(たま)にあり

◆存在の全てが同居するからに存在価値も在るのだろうが

◆人の世の儚さ嘆き涙して嘆く傍から人強く起(た)ち

◆生命と宇宙と我は違う名を名乗るひとつの在るが儘 在る

2014年5月 4日 (日)

三十首連歌『ラ・フランス狂想曲』

 

『ラ・フランス狂想曲』


◆洒落臭い有象無象のパラサイトに身震い一つ見舞う地球

◆見ず知らず異国のようなこの母国(くに)でカタコトカタコト糸車押す

◆窓辺から首を傾げて眺めれば満足な散歩嫌いな犬

◆一人称と二人称の花園は愛されるべき愚の骨頂

◆何一つ燃え尽きてない鬼神の火消す不毛なるヒトの世の常

◆発つ人の置き去りし白紙の手紙にて目蓋の裏白く光る

◆秋雨の向こうの春に憧れて擦(かす)れた声でチューリップ呼ぶ

◆懐かしき「短歌は詩か!?否か!?議論」来世紀には詩になるだろう

◆この星の言葉の壁を見上げれば太陽の大きさを思い知る

◆嘆く時 嘆けば嘆け 嘆こうと 嘆いて嘆く 田んぼのカカシ

◆ひょろ長いバベルの塔はぽっきりと折れる潔さもなく曲がる

◆独り座す半畳未満の画面より宇宙旅行へ旅立つ狂気

◆灼熱の躰の乾き、かさついた眼(まなこ)を閉じて石を転がせ

◆頭蓋骨に0と1の電極を刺す人造人間のパズル

◆借り物の仕立ての良いダブダブなスーツのズボンを幾度も上げる

◆無言にてしたたり落ちる体液は故郷の海の一滴だった

◆肺の中に降る輩が営みを止めにくる。徐々に。徐々に。徐々に。

◆グラビアの素敵な山にいざ行けば屍からどんぐりの発芽

◆ため息を吐(つ)く宣言をして吐(つ)いた夜、ため息は伝言となるか

◆ひと時の君の小舟と寄り添った愉快な旅もそれぞれの河

◆五線紙にプリズム越しの陽光を挿頭(かざ)し歌など歌いましょうか

◆爽やかにはためくシーツ描写して何か嬉しいキブンは欺瞞

◆共感を得たいは女、魅せられてみたいは男、コレで落とせる。

◆虎猫のマーブル模様が同化した布団に昼寝の3時過ぎ

◆未来人に神と呼ばれるモーツァルト 食事のBGMも進化した

◆目の前に転がって来た目新しい使い古しの玩具(おもちゃ)追う猫

◆空白の時の育む純白の互いのそれは光となろう

◆物理的肉体に棲む霊魂より贈られる優しきクオリア

◆ミカエルの申し子 紅き皇帝は背なの炎に疾風(かぜ)の矢を射る

◆大宇宙(おおぞら)で星にたまとる愛し仔よ 伸びやかに跳べ魂のままに

2014年4月24日 (木)

三十首連歌『死生観』

 
※環境をパソコンからご覧頂くと見易いです。
スマホは画面を横向にして下さい。
ガラケーだと分かり辛いかもしれません。

 

『死生観』

 

  「始まり」は「終わり」へのスタートライン
               ならばゴールはハッピーエンドで

吾が身に共存する物達、匙加減一つに「わたし」を支配せよ

  肉体と精神の束(つか) 傾(かし)がりて耳の奥よりドラ響きたる

  ダリのごと景色滴り横たえる色(からだ)の沈みゆく果て何処(いずこ)

蒼白な透き通りし顔の生気は美しささえ放ちおりぬ

    両頬に蝶の広げる朱の羽は
                微かに潮の満ちる余韻と


濁流に飲まれ意識を失うそれと似た強制的睡魔

  耳鳴りに公転の音、目眩に自転の風景重ね未だ生(あ)る

半分に別れた身体(からだ)弄ぶ野次馬共の宴(うたげ)盛会

  灰の降る空の裏側持て余す聞き耳頭巾の解(ほつ)れ引っ張る

  夢の中、父の抱擁に涙して目覚めるそれも悪夢だろうか


さて「わたし」は佇むこの中心点より何処(いずこ)へ踏み出(いだ)すべきと


歴史という一絡(ひとから)げ葬られし生命(いのち)、手繋ぎ地球(ほし)を見守る

息をせぬ活字呑み込み生きながら乾涸(ひから)びる脳に電極は生え

   命の為の命
   それとも信の為の命か
   鬩(せめ)ぎ合う現代(いま)

大いなる領域の霊(たま)囁ける試練試練の連呼うんざり

偽りの身に仕舞い込むあでやかな やわらかなもの 確かめつつも


   惑星に注ぐ陽光(ひかり)の反射見て
   相対の意味 今更に知る


吾という小宇宙と君という小宇宙の迎合は希望

白昼夢、化石の人との再開はママゴト遊びの花園たらん

あの人の閉ざされた窓覗きつつ異次元にぽつり ひたすらぽつり

   魂の容器(いれもの)既に傷みおり幾許(いくばく)の恋 更にうつくし

彼等との巡り合わせは学び舎(や)と偉そうに宣(のたま)わく運命

   遠くから囀る小鳥 隠れ見て
            胸中鳴らす青い旋律


何故、何の問いばかりではくたびれた。
 ただ無邪気には笑えぬものか?


     風の色
     木々のざわめき
     蜻蛉の
     「わたし」の
     體(からだ)も混ぜ合わせる


屍の粉を降らせた野原にて四季の花咲く自然となろう


   鮮やかな空気の流れ
    透明な街並みの列
     地下より眺望(なが)め


華やかに咲き誇る花散りゆけば後に確かな結実のあり

 

     静止画の様な深夜に
     ひと欠片(かけ)の無情と有情(うじょう)
                  猫の横切る

2014年4月12日 (土)

三十首連歌『あゆみ抄』

 

『あゆみ抄』

 

  プロローグ


◆抱(あたた)めし羽毛の胸の卵らよ パンドラの箱最後のひとつ

◆祝福の歓喜のラッパ高鳴りて現(うつつ)の天使地から湧き出(い)で

◆慈悲飲みて掌(て)の中の稚児すくすくと使命に立てる若人(わこうど)となり

 

  第1幕


◆絹を撫で珠(たま)を転がし蜜を浴び至高の美への琴線(きんせん)弾(はじ)く

◆黄緑の鬱蒼の森 対極を守護(まも)る孔雀が扇(おおぎ)広げり

◆舞踏手(おどりて)の輝き星(ぼし)は翼もげ天地の波にゆらりゆら揺れ

◆緞帳(どんちょう)は天高々な光彩に パブロフの犬 曲芸開始

◆月光の下(もと)に輝く宝石の陽(ひ)に曝される硝子(ガラス)の不安

◆絶望の淵の深さを嘆いては涙のレンズ誤りを増し

◆嗚咽あげ願いはらはら零れ落つ 探し求めた真実(まこと)の様(さま)よ

 

  第2幕


◆人の世の心模様の姿をば百鬼夜行のずいずいと行(ゆ)く

◆滑稽な道化が踊る錯覚の足掻きと喘ぎ隠すペルソナ

◆曼陀羅を背に従えて御座(おは←おわ)します阿修羅の睨む理想苦しき

◆鱗(うろこ)張る魂 禊(みそ)ぎ削りては眼光(まなこ)試され微笑(びしょう)ありたり

◆控えめな手と手差し伸べ瞬く間 天国の幸(さち)ハレルヤ響け

◆学問の真(まこと)しやかな決然に胸空(す)く希望 果は燦々と

◆芸術の審美は煌めく先駆の眼(め) 盲目のイデア叩き斬る

 

  第3幕


◆たおやかな美しきひと しなやかに あなたのままで お行きなさいな

◆理想あれ つまずきもあれ 舞い踊れ 流す涙の掛橋と成れ

◆天人(あまひと)の選ばれし君苦しかる諸天の舞は降りて踊りて

◆あなた故あなたで在れば それはもう揺らぎなど無く天使として在る

◆わたくしは存在したるあなたには真っ直ぐと前 視ること望む

◆故郷(ふるさと)は黙し見守り叱咤あり 強くあれ強くあれと願う

◆苦しみを吐露する君の率直さ 良しとしたるも背筋伸ばせよ

◆あゆみゆく君の背送り励ましと痛む両手で突き飛ばしましょう

◆手も足も鉛となりて沈ませり重たき瞼の光刺しやる
 

  コーダ


◆黎明の時刻を待ちてすやすやと光の卵は眠り給(たも)う

◆指先の仕草の綾の物言わぬ決然とする意志の目覚よ

◆宇宙(そら)にある紫の霊(たま) 背を押せば脆き肉ごと生命(いのち)果てなく

◆拙くも無垢なる儘に道程は希望の使徒なる あゆみ つづく

 

 

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